LILY NIGHT は1988 年中国黒龍江省ハルビン市生まれ。
日本とイギリスでの留学と勤務経験を経て、東京を拠点に制作活動を行なっている。
個人的な記憶とコレクティブな記憶との関係性について問題意識を持ち、ドローイング、コラージュ、写真、映像、テキスト、インスタレーションによる作品を発表してきた。
市場経済の中に失われる個の存在と痕跡を求め、商業主義的な思考やマスメディアに定義される社会性を超え、より広い循環と宇宙観を意識させる作品づくりに取り組んでいる。
LILY は本展に際し、次のステイトメントを出している。
かつて言語化されることがなく、夢判断とか自動書記などを通して考察される無意識や潜在意識の存在は、現代のネット中心のコミュニケーションを可能にするシグナルとなり、現代人の思考全般を支えていると考える。
そういう無意識や潜在意識よりも深いところの感覚を持って、その感覚に何かしらの形を与えようとして作品づくりに取り組んでいる。
sub-limeという単語は建物の縁、身体の限界、意識の昇華という意味を持ち、sub-consciousness(無意識)と同じ綴りを持っている。主幹道路を車を持つ人達に与え、一般大衆を地下に追い込むsub-way、威厳を持つ主流文化に対してのsub-culture、いずれも周縁にある存在、重要視されていないものを意味する。
無意識より深い感覚を持って、という意味で更にsub-をつけた。そして、sub-cultureというアイデンティティーを自認している東アジアの芸術圏に対する批評でもある。
私自身は中国北部の極寒の場所に生まれて、崇高という観念は時間とランドスケープと共に、子供の頃から身にしみた感覚である。母国の共産主義というイデオロギーに煽られた革命や、十数億の人口を取り巻く巨大国家の政治と言説、そして人間の実存を凌駕するグローバリゼーションの資本主義という国際社会を生きる複雑な思いを抱いて、もう一度このテーマに触れて見たかった。今後も自分の制作を振り返る物差しの一つになるだろう。
かつて言語化されることがなく、夢判断とか自動書記などを通して考察される無意識や潜在意識の存在は、現代のネット中心のコミュニケーションを可能にするシグナルとなり、現代人の思考全般を支えるようになった。そういう無意識や潜在意識よりも深いところの感覚を持って、その感覚に何かしらの形を与えようとして作品づくりに取り組んでいる。
わたしの制作は、定義するものと定義されるものの間に絶対的な秩序の無さ、指向性が無効されることによって境界線が曖昧となり、解読が自由となり、そこから新しい解釈や語彙が生まれるという思考のエコロジーの生成に向かっていると考える 。
(LILY NIGHT)
LILY NIGHT 「sub-sublime」
会期 2022/11/18〜2022/12/11
会場 デカメロン
開館時間
火~土 16:00~02:00
日 16:00~24:00
月 18:00~24:00
*いずれの曜日も23 時以降は1F の営業に準ずる
休館日 なし
*SNS をご確認下さい
鑑賞料 500 円
アクセス JR 新宿駅徒歩5 分