共同個展「ビューティフル・イミテーション/だれもあなたのことを忘れてくれない」に向けて:
この度共同個展と題しまして、笹田晋平と宍倉志信の2名アーティストそれぞれの個展をデカメロンギャラリー内で同時に開催します。
それぞれの個展は大枠でのコンセプトやテーマを設定することなく、別の展覧会として話し合いを進め、グループ展とは別の仕方を構想し、制作されました。
また、デザイナーの奥田奈保子が、それぞれの個展に呼応するタイトルロゴと、その2つが組み合わさりデザインされたメインビジュアルを担当します。
企画・構想 吉田山
笹田晋平個展「ビューティフル・イミテーション」:
笹田晋平は神戸大学卒業後に画家活動をスタートするという経歴を持ちます。
今展では笹田が2020年以降から始めた点描画シリーズの歌舞伎町を舞台にした新作を発表いたします。
笹田曰く、「点描とはとにかく時間がかかる描き方」であり、むしろそれが新型感染症対策のための緊急事態宣言での自宅待機での時間の長さを埋めるように点をうち続ける事で始まったシリーズです。
過去作には、霜降り肉をキャンバス全体に描くことによりアメリカ抽象表現主義絵画に対する批評を込めた作品や、仏画・釈迦涅槃図を参照し、釈迦(シャカ)を鮭(シャケ)に置き換え描いた作品等があり、スタイルは様々ですが描く題材への批評的な態度は一貫しており、今展では歌舞伎町をどのように描くのでしょうか。
宍倉志信個展「だれもあなたのことを忘れてくれない」:
宍倉志信は東京藝術大学院卒業後、映像を用いた作品によって作家活動をスタートするという経歴を持ち、過去作には、ゲームセンターの筐体を模しつつ、「転生」を促すセミナー形式のゲーム作品や、視力検査の筐体を用いて鑑賞者自体を作品の演者として巻き込む体験型作品等があります。
本展に出品するパチスロ型の作品は、作家自身が構想した架空の団体「健康機構」からリリースされた健康診断機器作品です。
参加者は100円硬貨をパチスロ型の健康診断機器に支払いプレイすることで、鑑賞者自身が持つ思想について診断を受けることになります。そして参加者それぞれの思想の個性に合わせた診断書が発行されます。
「だれもあなたのことを忘れてくれない」というタイトルは、その思想の個性の一つを象徴するフレーズです。はたして、皆様にはどのような診断が下されるでしょうか?