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デカメロン

小泉明郎 オヤマアツキ
「王の二つの身体」
2020.12.21~2021.1.31
(会期延長 2021.2.1~2021.2.21)

本展のために、新しい上皇のポートレイトを作成していたちょうどその時でした。

あるラインのグループに、高嶺格さんからオヤマアツキさんの作品画像が送られてきて、そのイメージを見て驚愕しました。目の前で作っている自分の作品と、送られてきた作品のアイデアがまさにシンクロしているのです。

しかし、このように複数のアーティストが同じ時期に同じような作品をシンクロして作ること自体は、珍しいことではありません。そして私は、このシンクロが起こるたびに、アーティストが作品を作っているというよりも、時代がアーティストに作品を作らせている、という感覚におちいります。個人を超えた、大きなコレクティブな無意 識に作らされている、という感覚です。そして、天皇制自体、まさにこのようなコレクティブな無意識の地平で機能しているものではないでしょうか。その制度に反対するも、賛成するも、まさにこの地平を一度通過させた表現にしなければ、この強固な制度の磁力を捉えているような表現には至らない。その意味で、本展で今日の天皇の肖像を扱おうとしたときに、このシンクロは偶然ではなく必然なのではと考えました。そこで、オヤマさんに声をかけさせてもらい、この二人展が実現しました。

エルンスト・カントロヴィッツという歴史学者は、『王の二つの身体』という本の中で、王の身体とは、「自然的身体」と「政治的身体」という二つの身体が統一された身体であることを書き記しています。「自然的身体」とは、生物的な身体で、欠陥があり、虚弱で、死ぬ運命にある生身の身体です。それに対して、「政治的身体」とは、国家の永続性を体現した、不可視、不可触で、聖なる、死ぬことのない身体です。王とは、この二つの身体を同時に体現した存在であるというのです。多木浩二が『天皇の肖像』で指摘しているように、日本の天皇を表現するのに、これ以上の適切な表現はないように思われます。

政治や法、メディアや文化や教育で想定されている身体と、己の生身の身体のギャップ、そのギャップが大きくなればなるほど、時代が芸術を必要とするのではないか。コロナ禍ではそのことをより強く意識させられています。

2020年12月 小泉明郎

作家プロフィール

小泉明郎
1976年群馬県生まれ。国家・共同体と個人の関係、人間の身体と感情の関係について、現実と虚構を織り交ぜた実験的映像やパフォーマンスで探求している。
これまでテート・モダンのBMWテート・ライブや上海ビエンナーレ、シャルジャビエンナーレ等、多数の国際展等に参加。個展としては「Projects 99: Meiro Koizumi」(ニューヨーク近代美術館、2013)、「捕われた声は静寂の夢を見る」(アーツ前橋、2015)「帝国は今日も歌う」(Vacant、2017)、「Battlelands」(ペレス美術館、マイアミ、アメリカ合衆国、2018)等を開催。VR技術を使った作品では『サクリファイス』(MMCAソウル、韓国、2018)、《縛られたプロメテウス》(あいちトリエンナーレ2019)がある。
2021年《縛られたプロメテウス》で第24回文化庁メディア芸術祭アート部門大賞を受賞。カーディフ国立博物館Artes Mundi受賞。
オヤマアツキ
1997年⽣まれ、現在神奈川多摩美術⼤学⼤学院修⼠課程彫刻専攻在学中。
⽴体、平⾯、映像やゲーム、インスタレーション、他にも様々な⽅法を⽤いて作品を制作。
社会に蔓延している事柄に対して疑問を抱き、独⾃の⽅法論でそれらに介⼊しようと試みている。特に、⼈々の中に⾃明の事として存在し、疑問視されることなく繰り返し⽤いられるような事柄に興味を持ち、それらを挑発的に問題提起する作品を制作している。また、⾃⾝の所属している時代や場所を客観視し、社会的な事象と⾃分の距離を作品に投影することを考えている。

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